古い詰め物や被せ物の下には虫歯があるから全部やりかえなきゃダメ?

当院では歯科相談というメニューがあります。

相談自体に費用をいただき、当院での治療を前提とせず歯科に関する相談についてお答えするものです。

様々な相談がありますが、「この治療は本当に必要なのでしょうか?」というのが結構あります。

<古い金属の詰め物を全部やりかえる必要があります。全てセラミックにして50万円です。>

<詰め物や被せ物の下は虫歯になっているかもしれないのでやり直しましょう。全部で200万円。>

なんて歯科医院で言われて、痛くもないのに?とびっくりしてセカンドオピニオンを求めて来られます。

上記は実例だったりします。

で、意外と冊子になった素敵な説明資料をもらっていて、口腔内写真やレントゲンにここ治療必要!と示しているのですが、透過像らしいものはないし、口内で見ても隙間はないのになあ???なんて

金属は古くなったらやりかえないといけないのか?

たぶん、金属は古くなったらやりかえないといけないと誤解されている方は多いかと思います。

金属の素材そのものは劣悪なものを使われていなければそんな簡単には劣化しません。

悪くなるのは金属と歯の間を埋めているセメントでこれが溶けたり割れたりで問題がでることはあります。

だからと言って、古い=悪い、とはなりません。

すごーく適合が良くて、何十年も経っているけど何の問題もなく、やりかえるのはもったいないくらいのこともあります。

お金さえかければ、一生歯のことでは困らない?

あともう1つの誤解。

50万円かけたら、200万円かけさえしたら、一生歯のことでは困らない。

そうとは限らないですからね。

歯周病の治療もせずに、虫歯リスクもマネージメントせずに、詰め物や被せ物だけやりかえても意味がないのです。

あと、一見きれいなセラミックだけど歯茎に隠れた部分が合ってない、なんてこともあったり。

50万円や200万円の治療を全否定するわけではありません。

歯周病をしっかり治して、メインテナンスと虫歯のリスクコントロールをして、顎の位置の調整をして、神経の再治療も高度で、詰め物や被せ物はぴったりで咬み合わせもばっちりで、という素晴らしい先生もいるとは思います。

そうではなくても、セラミックというだけで金額が出ちゃうんですよね。そこはご注意を。

詰め物(インレー)をやりかえた方がよいケースとは?

ただ、インレーをやりかえた方がよいケースももちろんあります。

インレーと歯の間のセメントが溶け出していたり、明らかに適合が悪く、そのせいでプラークがたまりやすかったり、インレーの下に虫歯ができていたり。

その場合、下記3点を満たせる歯科医院を選ぶとよいでしょう。

  1. ただ「古いからやりかえましょう」ではなくやりかえる必要性の説明に納得したこと
  2. 虫歯のせいでやりかえるならば、なぜ虫歯になったのか、再発防止策について説明を受けたこと
  3. 歯肉の炎症(歯周病)がなくなってから型取りすること

詰め物(インレー)でおすすめの素材

で、インレーの素材ですが。

割れない、適合を良くしやすい、硬すぎない、といった観点では、ゴールドが一番かと。

ただし、向かいの歯に違う金属が入っていると電流が発生して不快症状が出たりすることがあるのと、見えやすい部位だと金がきらーんとしてしまうことが難点でしょうか。

生体親和性がよい、色がきれい、という観点では、セラミックがよいかと。

ただし、セラミックは比較的割れやすいので、歯を削る量が多くなりがちであることが難点でしょうか。

インレーの素材は何がいいかは「症例による」というのが正直なところ。

担当医の先生に「あなたの口腔、この歯」にとってはどのような理由でどの素材がいいか、について説明してもらって選択するのが一番です。

初めて虫歯を治療する歯はレジン充填(ダイレクトボンディング)で

そして重要なポイント。

もともと詰め物(インレー)が入っていた歯でなければ、つまり初めて虫歯になった歯であれば、第一選択はレジン充填(ダイレクトボンディング)です。症例によりますが。

レジン充填(ダイレクトボンディング)とは、光で硬化するペースト状あるいは粘土状のレジン(樹脂)を穴に詰める治療です。

インレーは型取りするために、実際に虫歯にやられた部分よりも大きく削る必要があるのです。

すでにインレーが入っていてその下が虫歯になってしまっていた場合はしょうがありません。

そうでなければ、虫歯でやられた部分にアクセスできる最小限の量を削り、虫歯でやられた部分は削らない器具でかきとり、レジンを詰めることで治療できることが多いです。

(もちろんケースによるので、歯科医師の説明を聞いてくださいね。)

・・・と思っていたのですが、先日、金属のインレー用に大きく削った穴にレジン充填された症例に出会ってしまいました。

うーん、そういうパターンもあるのかあ。最近、金属が高いもんなあ。

レジン充填もちゃんとひっついてなかったり、隣の歯とくっついてたり、はみ出していたり・・・。

まあごく一部ではあると思うのでが、なかなか難しいですねえ。

なお「虫歯があるから削りますね~」なんて、歯医者で言われちゃうことがあるかもしれませんが、「はーい」とまな板の上の鯉状態でお任せするのはおすすめできません。

まず、「本当に削る必要がある虫歯なのか」についてはこちらに書いています。

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セカンドオピニオンがほしい方へ

歯科医院はどこも治療に忙しく、相談する時間がないこともよくあるのではないでしょうか。

治療を受けている先生に悪いから、気まずいから、と遠慮される方もいらっしゃいます。

しかし、削ってしまっては元に戻らない歯のこと、もっとちゃんと相談したいこともありますよね。

歯の花クリニックでは、自由診療で歯科相談料として費用をいただきます。

そのため当院での治療を前提とせず、相談に対して報酬をいただき、情報提供に専念します。どうぞ安心してお受けください。

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院長・米畑