歯医者の歩き方 はじめに知るべき3つの事実

【1. 歯を削った方が儲かる】

 

と言い切るのは語弊があるのですが、あえて。

ちゃんと説明しますね。

 

例えば、黒くなっているけれども穴があいていない虫歯があったとします。痛みもありません。

この場合、状況によってすぐには削らず経過観察をするという手もとれます。

が、保険診療において報酬は主に処置に対して設定されています。

経過観察であれば、初診料(あるいは再診料)とレントゲン撮影料ぐらいしか請求できません。

ということは、効率よく報酬を得るためには、

虫歯があるから削って詰めておきますね~、と診査や説明は極力短い時間にしてすぐに削って詰める。

できれば数歯をまとめて短時間で処置して保険で請求する。

あるいは型取りが必要な詰め物や被せ物を入れるとなると、部位によって自費診療の選択肢を提示することもできます。

 

早合点してほしくないのですが、歯医者がみんな報酬が多くなることだけを考えて治療をするわけではありません。

削った方が儲かるけどそこは考えずに良い治療を、と考えている歯医者はたくさんいます。

 

日本の歯科診療(特に保険診療)では「何の処置をしたか」に対しての報酬が決まっていて、

病気が治るか治らないか(結果)や質は問わない、ということです。

 

そういった保険診療の特徴やルールを知っておいた方がよいかもしれません。

というか、自分の歯を守るためには、歯医者の歩き方を知るためには避けて通れないんですよね。

少しずつ解説していきます。

 

 

【2. 自費が高すぎるのではなく、保険が安すぎる】

 

削ると儲かる、なんて話をすると、

「歯医者め、高い自費治療を勧めやがって!」

と思われるかもしれません。

 

が、世界的に見ると、

自費診療に設定されている価格が世界基準に近く。

保険診療の報酬設定が「めちゃくちゃ安い」のです。

 

安いから適当にやっていいということではないのですが、

「めちゃくちゃ安い」価格設定のために日本独特の歯科診療の慣習や問題点があります。

 

※保険診療では検査・処置などの内容それぞれについて細かく全国共通の値段が決められています。

 

 

【3. 予防・健診は保険適用外である】

 

保険診療のルールで、基本的には予防も健診もすることはできません。

予防や健診であるならば自費(10割負担あるいは自由に設定した価格)でなければなりません。

 

予防のために3ヶ月に1回歯医者へ健診に通っているという方もいらっしゃるかと思います。

さあ、それはどういうことなのでしょうか・・・。

 

 

これら3つの事実。

つまり、保険診療や医療法などのルールで歯科医師に丸投げしてしまうのはギャンブルのようなものです。

たまたま大当たりの先生でもともとのリスクも低ければよいですが、ハズレだった場合は・・・。

保険診療は痛くなってしまった歯を「安価」で治療してもらえるというのが利点です。

かと言って、高い治療だから良いとも限りません。

じゃあ、どうすればいいの?そこを解説していこうと思います。

 

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歯の花クリニック

院長・米畑 有理