「儲け主義じゃないから、保険でしかやらないのよ~」

って、聞こえてきました。グリーンティー飲んで休憩してたら。

 

おばさま2人のおしゃべりです。

 

A「うちの子、儲け主義じゃないから、保険でしかやらないよ~。

高いのを全然勧めないの。」

 

どうやらAさんのご子息は歯科医師のようです。

 

あー、どうしよう、いろいろ突っ込みたい。説明したい。

しかし、急に隣の見知らぬ女が話しかけるのもヤバい。

というわけで、代わりにブログで。

 

Aさんに、否、日本の皆さんに説明したいのは主に2点。

 

 

1)そもそも日本の保険診療での歯科治療費の設定は安すぎる。

 

世界的には歯科治療費ってまあまあの値段がします。

まともにやった時の技術や所要時間を考えるとそちらの方が妥当な価格だと言えます。

つまり、自費診療が高いのではなくて、保険診療が「安すぎる」ことを知っていただきたいのです。

 

例えば、虫歯の部分をとった後にプラスチックのような白い素材を直接詰める「レジン充填」

 

レジン充填 解説と価格(歯チャンネル)

https://www.ha-channel-88.com/inlay/composite-resin.html

 

日本の保険診療 3,000円程度(3割負担で900円程度)

アメリカ 20,000~42,000円($190-394)※1

オーストラリア 13,000~17,000円程度 ($153-202) ※2

 

※1 保険会社のウェブサイトより平均価格

※2 オーストラリア一般開業医での平均価格

 

スウェーデンのある歯科医師は

「その値段なら5分で詰めないといけないよね。

レジン充填って簡単なのでも20分は必要だと思うんだけど」

 

そういうことなんです。

保険診療の値段設定は国が決めたのだから適正な価格である、というのは大きな誤解です。

「儲けが少ない」というより「まともにやれば赤字」という方が近いかも。

まあ、治療の種類にもよりますが。

 

 

2)自費診療を勧めるのは、儲け主義なのか?

 

そういう歯科医師もいるのは事実だとは思いますが、

自費診療=儲け主義=悪、というのはあまりにも短絡的かと。

 

そもそも、1)のような事情があるので、

自費診療で世界的に適正な価格で世界基準の治療をさせてください、

という意味で選択肢として自費診療を提示する歯科医師もいると思います。

 

自費診療の内容を聞けば、そちらのクオリティを求めていたのに、

という患者さんに選択肢として提示しなかったのであれば、

その方の不利益になってしまいますし。

 

もちろん、質の悪い治療を材料が違うというだけで

自費診療を勧めまくるのならば儲け主義ですが。

自費診療は儲けるために行うものである、というのは大きな誤解だと思います。

 

 

しかしながら、これが日本の一般的な感覚であり、

保険診療のややこしいところであり。

 

 

歯の花クリニック

院長・米畑

hanohana.com