ニュース「虫歯菌減らせば脳出血防げる可能性…発症関与か」

『虫歯菌減らせば脳出血防げる可能性…発症関与か』

 

特定の遺伝子を持つタイプの虫歯菌が脳出血の発症に関与している可能性が高いと、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)の猪原匡史・脳神経内科医長らのチームが5日、英電子版科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。

 チームは脳出血や脳梗塞などで同センターに入院した79人の唾液を採取。血小板の止血作用を低下させる「cnm遺伝子」を持つ虫歯菌の有無を調べた。

 脳の血管が破れる脳出血の23人のうち、6人(26%)からこの遺伝子タイプの菌を検出。一方、血の塊が脳の血管に詰まる脳梗塞などの56人からは4人(7%)しか検出されなかった。

 虫歯菌のうちcnm遺伝子を持つ割合は約1割。猪原医長は「口腔こうくうケアで虫歯菌を減らすことが、脳出血の予防につながる可能性がある」と話している。

http://www.yomiuri.co.jp/science/20160205-OYT1T50146.html

YOMIURI ONLINEより

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さらに詳細については国立循環器病研究センターのサイトにも掲載されていました。

 

『口腔内のむし歯菌』と『微小脳出血』との関連を解明

http://www.ncvc.go.jp/pr/release/post_17.html

 

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ミュータンス菌(虫歯菌)が脳出血のリスクを高めるという話は以前からあったかと思います。今回は、ミュータンス菌の中でも特殊なタイプが脳出血に関与しているかも、という研究結果のようですね。

 

だから、歯を磨きましょう。って、なんだか安直なような気がするのは私だけでしょうか?

 

そんなこと言うなら、被験者についてミュータンス菌の遺伝子タイプだけではなくて、プラークコントロールの程度やDMFT(虫歯経験歯数)も合わせて調べてほしいと思うわけです。論文では調べているのでしょうか?

 

そもそもミュータンス菌は1歳半〜2歳半頃に身近な人から感染し、基本的には後に減らすことは難しいとされている菌です。もちろんプラーク量を減らすことは意味がありますし、キシリトールでミュータンスの中でも善玉菌に変化するとの話もありますが。

 

さらには、どういう経路で脳血管に到達するのでしょうか?国立循環器病研究センターのページには「抜歯や歯みがきで」とありました。歯みがきで菌血症になんてなる???とググってみたら、こんなページがヒットしました。

 

感染性心内膜炎、無視できない歯磨き【研修最前線】

https://www.m3.com/open/clinical/news/article/285691/ 

 

おっと、歯みがきでも菌血症が起こることがあるんですね。とは言っても、出血するような歯肉の状態、歯周病がある状態ですよね。

 

なるほど。ということは、脳出血にはある種のミュータンス菌が関与している可能性があるけれども、脳血管に達する経路を考えてみると歯肉が出血しない健康な状態にしておくことが重要である。→歯を磨きましょう。は、あながち間違いでもないですかね。

でも、プロの手によるバイオフィルム(歯垢、歯石)の除去と健康管理は必須かと思います。

 

そして、改めて考えてみると、予防的メインテナンスというのは歯肉を健康にすることで歯みがきによる菌血症を防ぎ、口内細菌の全身への悪影響を防ぐことにもつながりそうですね。

 

歯の花クリニック

院長・米畑