神経を抜く(抜髄)
神経を抜いた後に感染した部分の治療(根管治療)
神経が出たのを塞ぐ(断髄、覆髄)
といった神経の治療、
「歯内療法(しないりょうほう)」を専門とする
「歯内療法専門医」という歯科医師がいます。
と、ここで専門医という言葉をうっかり出してしまいましたが・・・
専門医とか認定医とかあるのですが、日本とアメリカでは実は全然違います。
アメリカでは歯内療法専門医になろうとするとそのためのコースを何年かかけて受けなければなりません。
お聞きする限り、英語であるという苦労を差し引いてもかなり過酷な内容です。
一方、日本の専門医は学会の決める規定(学会に何年在籍、学会に参加、症例報告を何例など)を満たす歯科医師が申請を出し、審査してもらって合格すれば専門医の称号を得るという感じです。結構な手間はかかるのでやる気がないとなれませんが、何か共通のトレーニングを受けるわけではありません。
どちらが良いということではなく、違いがあるという話です。
アメリカでは臼歯の抜髄や根管治療を一般開業医がやることはなく歯内療法専門医へ紹介するそうです。
もし一般開業医が手を出してしまうと訴訟で確実に負けるとのこと。
特別な技量が必要な難しい治療であるという認識なのですね。
それを保険で受けられる日本はラッキーと考えるか、クオリティには保証がないと考えるか。
日本でも歯内療法専門医による治療は自由診療(保険が効かない)であることが多いです。
抜髄や根管治療だけで1歯10~20万円ほどかかります。被せ物(クラウン)は別途かかります。
高いですよね。アメリカ価格です。
歯を抜いてインプラントにするならば相場は1歯40万円。
根管治療で抜歯を避けられるならば、外科処置もなく40万円もかからない、
それだけの価値がある!という説明を聞いたことがあります。
感染根管治療で難症例の場合に、専門医の治療であればその歯を救えるかも、
と一般開業医から専門医を紹介されるというパターンが日本ではほとんどかと思います。
しかし、個人的なおすすめは、
抜髄や覆髄の時にこそ、歯内療法専門医にかかることです。
初めに上手にやってもらった方が感染根管になるリスクが非常に低いですし、
感染根管になってからかかるよりも歯の持ちが全然良いですから。
不可逆性歯髄炎(自発痛や強い痛みがあり、もう炎症はおさまらないという状態)あるいは歯髄壊死で
抜髄しなければならない状況であるということが大前提です。
何度も言いますが、簡単に神経抜かれちゃわないように。それが一番。
院長・米畑