「歯科医師なんて辞めてやる」

1998年の話です。大学の歯学部を卒業したわたしは、すぐに大学院へ進学。研究をしながら大学の附属病院で診療にあたっていました。でも、「歯科医師なんて辞めてやる!」と、心のなかで毒づく毎日。患者さんと接するのは楽しく、研究も大好きでした。わたしが馴染めなかったのは、おなじ歯科医師である同僚です。
 
・歯を削る速さを競うなど、自分の技術力にしか関心のない同期
・「どこが痛いの?」と、70歳の女性にタメ口で話す卒後1年目の後輩
・バイト先の医院で、保険診療だけで1日20万円を売上げたと自慢する先輩
 
彼らの頭の中にあるのは、自分の技術力や評価ばかり…。学校を卒業してすぐに「先生」と呼ばれて勘違いし、偉そうな態度…。もちろん、心から尊敬できる同僚や先輩、教授もいましたが、残念ながらごくわずか。わたしは、彼らと一緒に肩を並べて働くのが、本当に恥ずかしくて、苦しかったのです。
 
歯科の可能性を信じ、この道を一生歩むつもりでした。 でも、目の当たりにしたのは、ガッカリの現実。歯科医師たちの常識に慣れてしまうぐらいなら、歯科医師を辞めてしまうことに、何の未練もありません。また、歯科医師として、もう1つのことも気になっていました。

歯を失わないために
できることはないのだろうか?

わたしが担当していたのは、入れ歯やインプラント。失ってしまった歯の機能を補う「補綴(ほてつ)」という分野を中心に診療していました。
 
その診療を続けるなかで気になったのが、歯がなくなると、他の歯が失われるペースも早くなること。
 
たとえば、部分入れ歯は、少ない歯と歯茎で噛む力を負担します。そのため、残された歯に大きな負担がかかり、その歯を早く失う原因になることも…。歯を失っては、義歯の部分が増えて行くケースは、めずらしくありません。
 
こんな状況を目の当たりにして「歯を失わないために、入れ歯の調整以外にできることはないのかな?」「ましてや、総入れ歯になるまで歯を失うのを止められないってどういうこと?」わたしの疑問は、ふくらみ続けます。こんな歯科医療を続けていて良いのだろうか?

ある日、その疑問は
ガラガラと音を立てて崩れ落ちました

疑問を抱えながらも診療を続けました。でも、研究については充実の日々。スポーツ歯学を研究していたのですが、国内だけではなく国際学会にも参加し、発表もしていました。東京、名古屋、福岡、札幌など日本中を、アメリカ、カナダ、スウェーデン、フランスと海外まで飛び回っていたのです。
 
また、専門書の執筆や1年半にわたるフランス留学などを経て2003年には博士の学位を取得。研究者として、このうえなく満たされた生活を送り続けます。
 
そして、2004年。わたしは、1つの論文に出会い、頭をガツーンと殴られるような衝撃を受けます。それは、世界的に有名な歯科医師、スウェーデンのアクセルソン教授の論文でした。
 
アクセルソン教授の論文に書かれたデータによると、30年にわたる歯のメインテナンスで、歯周病と虫歯の発症が、ほとんどおさえられたとのこと。
 
「ええ~!そんなことができるんだ!」と興奮した日を、昨日のことのように覚えています。ずっと疑問だった「歯を失わないために、入れ歯の調整以外にできること」の答えが、そこにあることを確信。この感動を、興奮しながら歯科医師の仲間に話しますが…

「ふ~ん、それで?」

まわりの歯科医師仲間の反応は、思っていた以上に冷ややか。
 
「どうして?治療に至らず済むならば、それが一番じゃないの?」「自分が治療を受けるならば、歯を削られない方が良いでしょ?」
 
どれだけ熱弁しても、わたしが、あたりまえに良いと感じていたことに共感してくれる仲間は、ほとんどいません。当然のことながら、大学病院で、歯のメインテナンスが満足にできるわけもなく、モヤモヤする日々を過ごします。
 
どうしても、歯のメインテナンスを本格的にやってみたい。どうしても、予防メインの歯科医療をやってみたい。その想いは日に日に募り、わたしは大学病院に籍を残したまま、他の歯科医院で勤務することを決めます。治療を避けて、歯を健康に守り続ける歯科を追及するためです。

現実は甘くなかった…

アクセルソン教授が提示した歯のメインテナンス。どこか日本の歯科医院でも、近いことをやっていないかな?探していると、神戸のある歯科医院を紹介してもらえることに…。
 
しばらく勤務したそのクリニックでは、多くのことを学びました。はじめて知ることばかりで毎日が感動の嵐。メインテナンスで結果をだせている現場で働けることが、何よりも嬉しい!
 
でも、そのクリニックで取り扱うのは、保険診療の範囲でできるメインテナンス。つまり、できることに限りがあり、私が目指していた診療は、完全には実現できません。なので、次は、自由診療(保険の取扱いがない)医院へ勤務することを決めました。
 
その医院でも、非常に貴重な経験を積むことができましたが、メインテナンスについては、数ある診療の1つとして取扱われていました。そのため、わたしが目指していた、本格的な予防歯科としてのメインテナンスの実現は難しい…。院長の許しが得られません。勤務医が、どうこうできる世界じゃないのかと、現実を思い知ることになりました。

ならば、自分で歯科医院を開業しよう

他で実現できないならば、自分の歯科医院を持つしかありません。
 
しかし、日本でまだ浸透していない、メインテナンス専門の予防歯科を開業するには、とても勇気のいることです。ポジティブな性格のわたしでも、なかなか、あと一歩を踏み出せない…。何かがひっかかる…。
 
このまま理想をあきらめるべきか、それとも、理想に向かってチャレンジしてみるか…。悩みに悩んでいましたが、私は偶然にも、あるチャンスを掴みます。

「アクセルソン教授に会ってみない? 」

わたしの歯科医師人生を変えてくれたのは、間違いなくアクセルソン教授の論文です。その論文では、わたしが悩み続けていた「歯を失わないために、入れ歯の調整以外にできること」の答えを示してくれたのですから。
 
でも、開業するまで、何かが足りないような気がする…。そんなとき、大学の先輩から、思いもよらない誘いをいただきました。
 
「スウェーデンでアクセルソン教授に会うけど、一緒に行く?」
 
なんたる幸運。「もちろん行きます!」の即答。先輩はアイルランドに留学中で、以前留学していたスウェーデンの仲間に会いに行くとのことでした。

「君ならできる、やってみなさい」

アクセルソン教授と初めて会った日は、忘れられません。場所は、カールスタッドという湖岸の街。当時のアクセルソン教授は74歳ですが、元気そのもの。
 
カジュアルな私服で自家用車を運転する教授。アクセルソン教授の歯科医院、地域の公立歯科、小学校の歯科予防室など、いろんな場所へ案内していただきました。さらには、観光地やショッピングまでご一緒していただき、ご自宅へ宿泊までさせてもらうことに…。
 
見学しながら、移動しながら、食事をしながら、お茶を飲みながら、アクセルソン教授へ数々の質問を続ける日々。たくさんのディスカッションをさせていただきました。

アクセルソン教授と思い出の写真

アクセルソン教授の見た目はやさしく、冗談も楽しいお爺様ですが、歯科の話となると雰囲気はガラリと変わります。経験に裏打ちされたキレの良さ、予防歯科を突き進んだ熱い魂をビリビリと感じます。
 
30年以上前から歯のメインテナンスの着想に至り、論文でも臨床でも成果を提示したアクセルソン教授。その温かさと、凄みを感じる貴重な時間を経験できました。
 
最後に、アクセルソン教授は、わたしのクリニックの構想を聞き、こう言ってくれました。「君ならできる、やってみなさい」…もう、迷いはありません。わたしは、2007年、歯のメインテナンス専門の「歯の花クリニック」をオープンします。

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保険診療の壁を、ぶっ壊す

歯の花クリニックは、歯のメインテナンス専門。大人の予防歯科を掲げています。そして、保険診療ではなく、自由診療のみを取り扱っています。その理由は、レベルの高いメインテナンス、予防歯科を提供するため。
 
保険診療で提供できることには限りがあり、正直言うと歯科医師から見ても十分でないものも多くあります。
 
ですが、自由診療だと、保険診療では選べない効果のある処置を提供できます。つまり、ご来院いただくみなさまにとって、純粋に効果的かどうか、健康に利益があるかどうかで、診療内容を選べるのです。
 
最初は、その価値を、なかなか理解してもらえずに悩みました。ですが、自由診療の価値は、受けてみてはじめてわかるもの。今では、多くの方々に、歯を失わないためのメインテナンス、予防歯科をご利用いただけるようになりました。

歯の花クリニックの挑戦は終わりません

わたしたちは、今、新たな取り組みに挑戦しています。
 
それは、仕事も遊びも、おもいっきり楽しめる人を増やし、日本を元気にすること。そのために、歯だけではなく、身体も心もスッキリする「新しいメンテ」を広めること。
 
わたしたちが目指すのは「ヘルス」を超えた「ウェルネス」です。
 
「ヘルス」とは「病気になっていない健康な状態」を意味しますが、「ウェルネス」とは「より健康に、より美しく、豊かな人生を志向している状態」を意味します。
 
クオリティの高い定期的なメインテナンスで歯の健康を守るのは当たり前。その先にある幸福を叶えられる、そんなクリニックになりたいのです。
 
たとえば、口臭を解消して機嫌よく暮らせること。歯が白くなって笑顔になって、積極的に動けること。他にも、さまざまな分野の専門家と協力して、歯だけではなく、全身的に身も心もスッキリ、前向きになれるような場を実現したいのです。
 
その第一歩として、当院では、少量の唾液で、癌に罹患している可能性を判定できる検査「サリバチェッカー」を導入しました。

テレビでも紹介された「サリバチェッカー」

▼2021年12月 TBS「News23」
「だ液×AIでがん検査」というテーマで「サリバチェッカー」が紹介。番組では、AIを活用した唾液からがんのリスクを検知する仕組みが説明される。ゲストコメンテーターの慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室 宮田 裕章教授より、ヘルスケア分野へのAI応用に対する期待値が示された。
 
▼2021年2月 日本テレビ「news every.」
特集「生きるってスゴイ がん新時代 withコロナ」で、「サリバチェッカー」が紹介。コロナ禍でのがん治療の問題として、感染を恐れ定期受診を控えるうちに、がんが進行してしまったケースや、膵がんの診断後2カ月で亡くなった方のご家族の、「患者との面会を阻み、残された貴重な時間を奪ったコロナが憎い」という悲痛な想いが示された。そんな中、コロナ禍でも感染リスクを気にせず、自宅でも簡単に受けられる検査として「サリバチェッカー」が紹介される。
 
日本人男性の2人に1人が、癌に罹患し、女性の3人に1人が癌に罹患すると言われる今、多くの方が、心配に過ごされています。
 
ですが、ご存じのとおり、癌は早期発見がとても重要。前向きに生きて行くきっかけの1つとして、人生100年時代におけるウェルネス実現のきっかけの1つとして、サリバチェッカーをご活用いただければ幸いです。

唾液でがんリスクの検査をしませんか?
「サリバチェッカー」のお申込方法

サリバチェッカーは少量の唾液を採取して送るだけ。唾液の採取はご自宅、または、歯の花クリニックで行えます。メインテナンスでご来院の際に、実施することも可能です。

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【ステップ1】検査の申込み
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▼ご自宅で、唾液を採取したい方(26,400円)
下記のサイトから「サリバチェッカー@HOME」にお申込みください。自宅に唾液の採取キットが届きます。

 
▼歯の花クリニックで、唾液を採取したい方(33,000円)
歯の花クリニックに、お電話でご予約願います。
TEL 06-6777-2848 (10:00〜18:00)

 
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【ステップ2】唾液を採取して郵送
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採取した唾液を、衛生検査所に郵送。ご自宅で唾液を採取された方は、ご本人様から直接、検査所へ郵送していただきます。歯の花クリニックで唾液を採取された方は、クリニックが、検査所へ郵送します。
 
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【ステップ3】検査結果を受け取る
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衛生検査所にて唾液成分を郵送してから、2~3週間以内に検査結果を、歯の花クリニックより郵送します。

お気軽にご相談ください

サリバチェッカーについて、ご不明点があれば、お気軽にご相談ください。もちろん、歯科のご相談についても承っております。歯の花クリニックが、みなさまのウェルネスの一助となれば、これほど嬉しいことはございません。
 
▼お問合せ電話番号
06-6777-2848(10:00〜18:00)

休診日や診療中は秘書センターにつながることがあります。
 
▼LINEでもお問合せいただけます

歯の花クリニック院長
 
米 畑  有 理(よねはた ゆり)
 
歯科医師・歯学博士

【経歴】
1998 大阪大学歯学部卒業
2001-02 ボルドー大学(フランス)留学
2003 大阪大学大学院歯学研究科(口腔総合診断学)修了・歯学博士号取得
2004-06 大阪大学歯学部附属病院登録医/開業医勤務
2006 スウェーデン視察
2007 歯の花クリニック開業

【著書・訳書・監修】

 

歯の花クリニックのご紹介

歯の花クリニックは2007年7月7日、大阪市中央区北浜にて開業。本当の予防歯科の実践を目的に開業したため、自由診療でのオーラルケア専門医院という当時はまだ珍しい業態でした。健康で心地よく利用できるクリニックとしてカスタム・オーラルケアの診療システムや、歯科医院らしくない内装など、メディアでも度々紹介されてきました。

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当院は大阪・北浜駅から徒歩1分、淀屋橋駅から徒歩10分の距離にあります。